2016年7月
日は赫赫たり月は明明たり
『南条殿御返事』/
建治2年(1276) 聖寿55歳
=日月の光明=
「赫」には、聖火で身を清める意味があります。
「明」は、窓から月の光が差し込み、暗闇から解放され、物事が明らかになることです。どちらも神仏の力を現しています。
災害や紛争など、辛いことがあると、私たちは、うつむいて下を見ることが多くなります。
しかし天を仰げば、そこに分厚い雲があったとしても、その上には必ず「日月の光明」が優しく輝いているのです。それは全てを包み込み、新たな力を与え続ける恵みの光なのです。
『南条殿御返事』
この御遺文は、駿河国(現在の静岡県)富士郡上野に在住した南条時光公からの供養の品への返書です。
日蓮聖人は御礼を述べられ、法華経への供養の功徳の大きさを示されました。そして法華経の文を引用され、その果報は必ず現世に現れると明らかにされました。
さらにこの功徳は、亡くなった慈父への回向にもなると説かれたのです。時光公は合掌して受け取ったことと思われます。
建治2年(1276)
聖寿55歳